ビジネスと人権


社会を構成する一員として

企業は、自らの事業活動を通して利益を得るだけではなく、社会に対して雇用の創出や税収増といったプラスの効果をもたらすことが出来ます。一方、ひとたび不祥事を発生させてしまうと、そこまで積み上げてきた企業自体の信用を失うだけではなく、人々の生活や安全安心、経済・社会秩序に対して悪影響を及ぼす危険性をもっています。このように企業活動は、消費者、投資家、取引先、地域社会、そして自らの従業員といったステークホルダー(利害関係者)との関わりなしには成立しないものです。

CSR(企業の社会的責任)

CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)という考え方が定着しつつあります。これは、企業の活動において社会的公正や人権・環境への配慮を組み込み、ステークホルダーに対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を果たしていくことを求める──という考え方です。

CSRは、企業の側だけではなく、ステークホルダーの側でも重視されるようになっています。無責任な行動をとる企業に対しては強い批判が寄せられ、経営の根幹に大きなダメージを被(こうむ)る場合もあります。

ビジネスと人権

企業活動が社会にもたらす影響が注目され、企業による人権尊重の必要性についても国際的な関心が高まっています。企業は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際的な基準等に照らしてその行動が評価されるようになっており、自社内に限らず、サプライチェーンやバリューチェーン全体を含めた人権への取り組みが求められています。